ブックレビュー『後宮の烏』
薬屋のひとりごとのおかげでKindleでの読書に再び目覚めたのはいいものの、読むのがしんどい or つまらないと、もうそのまま読まないので、軽めに読めるシリーズ物で面白そうなやつ、というターゲットで近所の本屋を物色。
本屋で平積みされてたり、ポップが面白そうなやつに目をつけて、さらにそれをアマゾンで検索してレビューを見て当たりをつけるという、完全に人さまの評価をあてにした選択方法。
でも、今回はそれが正しかったな。
目に止まったのは、表紙が素敵だったのと、それまで読んでいた「薬屋のひとりごと」も中国王朝における後宮が舞台だったから、世界観が近い方が入りやすいかなぁーと思ったから。
〜あらすじ〜
後宮の奥には、決して夜伽をしない妃がいる。彼女は不思議な術を使い、憎い相手の呪殺や祈祷、失せ物探しなど、頼めば何でもやってくれるという。漆黒の殿舎にひとりで暮らす彼女が、烏妃(うひ)。
この烏妃のもとを、年若い帝が初めて訪れ、彼女に「この翡翠の耳飾の落とし主を見つけてくれ」と依頼をする、これが物語のはじまり。
幽鬼や生きている人の悲しみ・憎しみ、そして後宮なだけあって帝を狙う陰謀や策略、それを烏妃が解き明かしていく、そんなお話が4本立ての構成です。
〜感想〜
泣けました(´;ω;`)
若い帝と、若い烏妃、主人公の二人。
この二人は極めて特殊な存在であり、現代の平和で身分制のない時代を生きる私達とは全く違う生き方をしているはずですが、持っている優しさや感性は、とても近しいのだと思います。
二人がそれぞれに見せる怒り、悲しみ、そして他者への憐れみや憧れなど、どれもすごく共感しやすく、だからこそ、帝と妃という自分とは遠い存在の二人なのに、自分のことのように心が揺れました。
幽鬼となってしまった人が、生きていた頃の姿を追って、幽鬼になった理由を紐解くという話なので、どうしても、すでに死んでしまったという変えられない事実が、悲しくて、切ない。
でも、生きている家族や友達に想われ、烏妃に救われるところは、本当に良かったと、読んでいて温かい気持ちになります。
そして、帝と烏妃のお互いに対する複雑な気持ちも少しずつ動く心も、とても切なくて、愛おしくて。この先の二人が、ますます楽しみでなりません。
というわけで、ずばり、当たりでした。選んだわたし偉い。まだ2もあるし、3も出たばかりなので、続きを読むのが楽しみ(*・∀・)