しばりのメモ帳

30代主婦が、書き残したいと思ったことを、ジャンル問わず書いています。

私にとってのBANANA FISH

BANANA FISH の舞台が公開されるにあたり、ローソンでもコラボ企画が始まるなど、ちょっと盛り上がりを見せてますな。

私にとって、BANANA FISHは人生観や考え方に大きな影響を与えた特別な作品の 1 つであり、とりあえずローソン通っちゃおうかなと思うくらいにはミーハーです。

 

BANANA FISH に触れたのは、子どものころ。

母が吉田秋生さんの本をいくつか揃えていて、その中の 1 つとして自宅に存在していました。多分初めて読んだのは小学生なんじゃないかな。

小学生の私にとっては、サスペンスとかアクションみたいな感覚で、この後どうなっちゃうの?エージ日本帰れる?アッシュ死んじゃう?というドキドキハラハラするものだった。それ以上でもそれ以下でもなく、そこにある人の思い、愛憎、欲望、孤独、葛藤といったものには気づいていませんでした。単純にストーリー展開だけを追っていた感じです。

 

その次は高校生くらいになって読み返したと思います。小学生の時とは全く違う衝撃を受けました。

「確か、若者たちがドンパチする漫画だったよな」という印象だったものが、高校生のわたしにとってはひどく残酷で、恐怖を感じる物語になりました。

あまりにも自分とはかけ離れている世界。でも地球のどこかでは存在している世界。平和な日本の、それも地方の田舎の優踏生には、全く縁のない、存在さえ感じない遠い世界への衝撃でした。

とはいえ、ここでも一番印象的だったのは、あくまでもドラッグや銃社会の恐ろしさや、年少児への性癖に対する驚愕、拷問や人体実験への恐怖です。

でも、このとき得た"知識"は、高校卒業後、上京して一人暮らしをはじめる18歳にとって、強い味方になりました。

 

一番最近で読み返したのは、社会人になってから?大学生?ともかく20代前半です。もう 10 年経っちゃったな……

その時にようやく、青少年たちのきらめきというか、尊さというか、登場人物たちの心と向き合えました。エージとアッシュ、彼ら以外の登場人物たちも含め、人の感情の揺らぎとか、決してキレイなだけではない人間の欲や渇きも含めた愛の形とか、そういった繊細な美しさを初めて理解できたような気がします。私自身が、上京して一人暮らしをはじめ、初めて関わるタイプの人と出合い、心から大切な人も出来て、壁にぶつかり、悩み、苦しんだ経験をしたことも大きかったと思います。

このときは読みながら所々で泣きました。最後は本当に号泣しました。しばらく立ち直れなかった記憶があります。それまではBANANA FISH読んで泣いたことはなかったのに。結末自体は知ってるのに。

 

こうやって、私の中のBANANA FISHは出来上がっていきました。登場人物たちへの愛着が生まれたのも、3度目に読んでからです。

 

30代、子どもを持つ親になり、いま読み返すと、きっとまた違った受け止め方ができると思います。

読み返したいなという気持ちはあります。ただ、読み返すことになると、ものすごくエネルギーと時間を使うことも分かっているので、なかなか……

でも少し先の未来、できれば娘にもこの作品に触れてほしいなと思っています。触れて、どう思うかはもちろん、彼女自身の問題であるけれど。

 

少なくとも私にとっては、出会えて良かったと確信している作品です。

小学生のときに出会ったハラハラ感が読み返す機会を作ってくれて、高校生の時に感じた強い恐怖が、私を守ってくれました。そして20 代前半の頃にこの作品から感じた美しさが、私の世界を広げてくれました。

 

いつか、娘がこの話と向き合った感想を聞ける日を夢見て、ひとまずは本棚に並べるスペースを用意することにします。

 

2022/1/18追記

夜にローソン行ったけれど、時すでに遅しだったようでハイチュウは買えず……(泣)

せめてもの記念にスムージーを一本と、クリアファイル買ってきた。

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でも知ってる、クリアファイルって、結局使わず仕舞われるんだよね。←

はーー、クリアファイル眺めてると全力で原作漫画読みたくなるよー。

 

おしまい。